世界名鐘物語
ロシア・モスクワ
「鐘の皇帝」、Tsar−kolokol (ツアー・コロコル)、Tsar Bell (ツアー・ベル)

世界最大の鐘です。重さ216トン、高さ6.14メートル、口径6.60メートルです。
女帝アンナ・イオアノヴナの命により、1733年に鐘鋳造師イヴァン・モトリンが取りかかり、
その後、息子のミカイルが引き継いで、この鐘を完成させました。
完成したのは、1735年11月25日夜のことでした。

ところが1737年5月に、火災が起き、鐘が熱くなったところへ水を掛けた為に、温度差が生じ、
鐘の一部に亀裂が出来てしまい、欠け落ちてしまいました。
欠け落ちた部分は、11.5トンもあります。

鐘の皇帝」は、クレムリンのイヴァノヴスキー広場に、大きな穴を掘って鋳造したのですが、
一部が欠けてしまった為に、吊り上げられることなく、鋳造されたまま穴の中に置かれていました。
約100年後の1836年に、御影石の台座を現在の位置に造り、吊り上げて運んで、その台座に据え付けました。

鐘には、皇帝アレキセイ・ミカイロヴィッチと、女帝アンナ・イオアノヴナのレリーフが大きく描かれています。
また、皇帝や女帝ほど大きくありませんが、イエス・キリスト、聖母マリア、ヨハネなどのレリーフも描かれています。

もっとも、この「鐘の皇帝」は第3番目の鐘で、1番目の鐘は17世紀の初めに、
第2番目の鐘は1654年(約130トン)に鋳造されました。
第2番目の鐘が、1701年の火事で焼けてしまった為に、その素材を使って、現在の第3番目の鐘を鋳造しました。
従って、現在の鐘をコロコルV(ベルV)、「第3の鐘」と呼ぶこともあります。

現在展示されている「鐘の皇帝」は、1980年に修復され、塗料と乾燥油を取り除き、台座も強化され、その上に据え付けられています。
「鐘の皇帝」は、鋳造以来、一度も鳴らされたことのない鐘です。

「鐘の皇帝」 鐘の左奥にブラゴヴェシチェンスキー聖堂が見えます
「鐘の皇帝」 鐘の左奥にブラゴヴェシチェンスキー聖堂が見えます
破片と「鐘の皇帝」 「鐘の皇帝」
破片と「鐘の皇帝」 「鐘の皇帝」
空洞が見える「鐘の皇帝」 空洞が見える「鐘の皇帝」
空洞が見える「鐘の皇帝」 同左
イワン大帝の鐘楼前の「鐘の皇帝」
イワン大帝の鐘楼前の「鐘の皇帝」
重さ1.5トンもある破片
重さ1.5トンもある破片
インスクリプション(刻銘) インスクリプション
インスクリプション(刻銘) インスクリプション
皇帝アレキセイ・ミカイルヴィッチ
皇帝アレキセイ・ミカイルヴィッチ
女帝アンナ・イオアノヴナ
女帝アンナ・イオアノヴナ
1836年に現在の位置に移動した時の図
鋳造穴の中の「鐘の皇帝」
鋳造穴の中の「鐘の皇帝」
吊り上げられる「鐘の皇帝」
吊り上げられる「鐘の皇帝」
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